当院では各種予防接種を行っております。
ヒブ
<対象>
生後2ヶ月から開始。4週あけて3回接種します。7ヶ月以上あけて、標準的には1歳すぎたら4回目を追加接種します。
<疾患の説明>
乳幼児期に敗血症や髄膜炎など重症感染症を起こす菌です。これらの疾患は命に関わることや後遺症を残すこともある重篤な疾患です。ワクチンはこれらを予防する目的で行われます。
肺炎球菌
対象:生後2ヶ月から開始。4週あけて3回接種します。2ヶ月以上あけて、かつ1歳から1歳3ヶ月の間に4回目を追加接種します。
<疾患の説明>
乳幼児期に敗血症や髄膜炎などの重い感染症を起こし命に関わることがあります。肺炎や中耳炎の原因菌としても多いです。ワクチンは主に前者を防ぐ目的で行われています。
B型肝炎
<対象>
生後2ヶ月から接種。初回から4週以上あけて2回目、初回から20週以上あけて3回目を接種します。
<疾患の説明>
代表的な肝炎を起こすウィルスです。自分が感染していることに気付いていないキャリアが日本には110〜140万人いると言われいます。血液だけではなく、唾液、汗、涙などからも感染する可能性があり、こどもの集団生活の中でも注意が必要です。感染がつづくと慢性肝炎、肝硬変や肝ガンになることもあります。
4種混合
<対象>
生後3ヶ月から開始。4週あけて3回接種します。標準的には1年から1年6ヶ月後に4回目を追加接種します。
<疾患の説明>
4種とは、ジフテリア、百日咳、破傷風、ポリオを指します。ジフテリアとポリオは、、国内での感染はほとんどありませんが、世界には今でも流行している地域があります。ジフテリアは心筋炎や神経麻痺の合併症があり、ポリオは下肢麻痺が出現し、5~10%に呼吸筋麻痺を呈し死亡することがあります。百日咳は乳児では重症になりやすく、肺炎、脳症を合併することがあります。破傷風は土壌中に広く常在する破傷風菌の芽胞が原因となり、怪我をした傷口から入って毒素を産生し痙攣や麻痺をきたし治療が遅れると死亡することがあります。
BCG
<対象>
生後1歳になる前までに1回接種します。標準的な接種期間は5ヶ月から8ヶ月未満です。
<疾患の説明>
結核を予防します。結核は成人では肺結核の長引く咳や熱が有名ですが、乳幼児では全身に結核菌がめぐって全身の臓器で症状を起こす粟粒結核のなりやすく、髄膜炎を合併し神経学的後遺症を残すことがあります。
麻疹・風疹(MR)
<対象>
1歳以上2歳未満に初回接種をします。2期は小学校入学前の1年間に行います。
<疾患の説明>
麻疹は発熱、発疹から肺炎や脳炎などの合併症をきたす疾患で、非常に強い感染力があります。風疹は‘3日はしか’とも呼ばれた発熱、発疹をきたす疾患で、妊婦が感染すると赤ちゃんに重篤な障害が出る先天風疹症候群を発症することがあります。
水痘
<対象>
1歳から3歳未満に2回接種をします。2回目は初回から3ヶ月以上、標準的には6ヶ月から1年あけます。
<疾患の説明>
みずぼうそうとも呼ばれるウィルス感染です。全身に水疱疹が多発し、咳、くしゃみ、接触以外に空気感染もあるとても感染力の強いウイルスです。
乳幼児、成人、妊婦、病気や薬で免疫が低下している人で、重症化しやすく、合併症として肺炎や髄膜炎、脳炎などがあります。水痘発症後、ウイルスは神経節に潜伏し免疫低下に伴い再活性化し帯状疱疹を発症します。
日本脳炎
<対象>
第1期は生後6ヶ月から7歳半まで接種可能です。標準的には3歳で開始し4週あけて2回目、初回から1年あけて4歳頃に3回目を接種します。9~12歳に第2期の接種を追加します。
<疾患の説明>
感染豚などで増殖した日本脳炎ウイルスに感染した蚊に刺されてうつる感染症です。ヒトに感染させ、急性脳炎を引き起こします。半数程度の方が後遺症を残す、治療法のない重篤な疾患です。日本での発症はきわめて稀ですが、養豚場近郊や猪生息地域は感染の危険があり、早めの接種が勧められています。東南アジアなどでは流行が続いています。
2種混合
<対象>
11歳以上13歳未満に1回接種します。
<疾患の説明>
4種混合に入っているジフテリアと破傷風について追加接種します。
ロタウィルス
<対象>
ロタリックス(1価)は標準的には2ヶ月から開始し、4週以上あけて2回目の生ワクチンを飲みます。初回は14週までに始めて、2回目は24週までに完了するようにします。
<疾患の説明>
ロタウィルスは乳児の胃腸炎を起こす代表的なウィルスです。合併症として下痢、嘔吐に伴う脱水症があり、他の胃腸炎と比較して重度となることが多く、電解質異常やショックに至ることがあります。また胃腸炎関連けいれんや脳炎・脳症を合併することがあります。小児の脳炎・脳症の原因ウイルスとして3番目に上げられており、約40%に後遺症を残します。
おたふく風邪
<対象>
1歳から接種できます。MRワクチンと同様に1歳頃と5~6歳の2回接種が薦められています。
<疾患の説明>
ムンプスウィルスの感染で、発熱や耳下腺(耳の下にあるだ液腺)の腫れが特徴です。頭痛をきたす髄膜炎や難聴や精巣炎など重い合併症もあります。難聴は約90%に高度以上の後遺症となり治療による回復は困難です。ワクチンはこれらの合併症を予防する目的で行われます。